この記事の要点
- 「What’s new in Swift」連載の2026年5月号で、世界各地のローカルな meetup グループを紹介するゲスト寄稿から始まり、注目の動画、コミュニティの話題、新しいパッケージのリリース、そして Swift Evolution の動きを取り上げています。
- 冒頭のゲスト寄稿では、Swift 登場以前から続くものもある各地の meetup やカンファレンスが、ローカルなつながりづくりと、作りかけのアイデアを気軽に共有できる場という2つの面でコミュニティを支えていることが語られ、参加と Swift Forums の Community Showcase での共有が呼びかけられています。
- 言語面では、レビュー中の
Optionalの non-copyable 対応の改善(SE-0532)と、最近採択された安全な async continuation(SE-0528)・参照型Ref/MutableRef(SE-0519)・テストケース単位の繰り返し(ST-0024)が紹介されています。Proposal についてはいずれも Swift Digest にダイジェストがあります。
この号は公式の定期ダイジェストなので、ここでは Swift 利用者が押さえておくとよい注目トピックを選んで整理し、Swift Digest 内外の関連リンクを示します。網羅的な一覧は元記事を参照してください。
注目トピック
ローカルな meetup グループ(ゲスト寄稿)
今月は、世界各地のローカルな meetup グループとカンファレンスにスポットを当てたゲスト寄稿から始まっています。多くのグループが YouTube チャンネルを持ち、イベントの動画を共有しているため、遠隔からでも視聴できます。記事では、CI とレビューフィードバックのためのエージェント構築を扱った SF Swift meetup の講演 Agentify Your Swift Repo、Swift Barcelona、iOS アプリでの MLX Swift 利用を扱った新しい MLX India meetup の講演、オンライン開催の Swift Community Meetups などが挙げられています。
寄稿者の Dave Lester 氏は、こうしたグループが2つの面でコミュニティを支えていると指摘しています。
- ローカルなつながり: 地域の Swift 開発者や組織どうしのつながりを育てている。
- 実験の余地: 形式ばらず、作りかけの内容を扱うこともあるため、アイデアを共有してフィードバックを得たり、互いに学んだりする場になっている。
近くの Swift meetup への参加が呼びかけられており、もし自分のグループがコンテンツや動画を公開し始めたら、Swift Forums の Community Showcase カテゴリで共有してほしいとのことです。
注目の動画・コミュニティの話題
- 動画: サーバーサイド Swift のための Web フレームワークを扱った Hummingbird 入門ライブストリーム Introduction to Hummingbird、クラッシュ・リトライ・再起動を経ても状態を失わない永続的ワークフローを Swift にもたらす SDK を紹介する Meet the Temporal Swift SDK(SDK は最近 1.0.0 に到達)、AWS Lambda と Swift でのサーバーレス開発を扱った Swift, Server-side, & Serverless が紹介されています。
- コミュニティ: WebAssembly については Swift for Wasm 2026年5月の更新と、Goodnotes を Swift と WebAssembly で Web に移植した事例(Blogダイジェスト Goodnotes を Swift と WebAssembly で Web へ)が取り上げられています。また、メンティー募集が2026年6月15日まで続く 2026 Swift Mentorship Program と GSoC 2026 で採択された3つの Swift プロジェクト、Swift 6.2 の
MutableSpanやInlineArrayなどを使って手書きの行列積を 382 倍高速化した過程を追う Matt Gallagher 氏の記事 Training an LLM in Swift, Part 1、VS Code Swift 拡張機能の Community Office Hours が紹介されています。
新しいパッケージのリリース
- Swift Bedrock Library: Amazon Bedrock の基盤モデルを Swift から扱うためのライブラリで、Swift で AI エージェントを構築できます。
- SwiftOSC: Swift 製の Open Sound Control (OSC) ツールキットで、最近クロスプラットフォーム化され、Apple プラットフォーム・Linux・Android に対応しました。作者は SwiftMIDI や SwiftTimecode など音楽関連のパッケージも公開しています。
- Benchmark 1.33.0: 多様なメトリクスに対応した Swift の性能ベンチマーク作成パッケージの新バージョンです。
Swift Evolution の動き
Optional の non-copyable 対応・並行処理・参照型・テストまわりの Proposal が動いています。いずれも Swift Digest にダイジェストがあります。
- SE-0532
Optionalnoncopyable improvements and generalizations(レビュー中): Swift のOptionalは non-copyable な型を包めますが、if letでのアンラップはOptionalを consume してしまい、その後は使えなくなります。本 Proposal はOptionalにborrow()とmutate()を追加し、それぞれRef<Wrapped>?とMutableRef<Wrapped>?を返して中身を consume せずに参照・変更できるようにします。あわせてmap・flatMap・unsafelyUnwrappedを non-copyable な wrapped 型に対応させます。 - SE-0528 Safe and Performant Async Continuations(最近採択): コールバックベースの API を structured concurrency にブリッジする際、開発者は誤用が静かに未定義動作となる
UnsafeContinuationと、誤りを検出する代わりにアロケーションとアトミック操作のコストがかかるCheckedContinuationのどちらかを選ばざるをえませんでした。本 Proposal は~Copyableな型Continuation<Success, Failure>を追加し、二重 resume をコンパイルエラーに、resume 漏れを実行時トラップにしつつ、高速パスではオーバーヘッドが生じないようにします。 - SE-0519
RefandMutableReftypes for safe, first-class references(最近採択): データ構造の一部への参照を保持したい場合、これまではヒープアロケーションと参照カウントのコストを伴うクラスか、安全でなく扱いに細心の注意を要するUnsafePointerのどちらかが必要でした。本 Proposal は、値への共有参照と排他参照を保持する安全な型Ref<T>とMutableRef<T>を標準ライブラリに追加します。ローカル変数・構造体メンバー・ジェネリック型パラメータとして使えます。 - ST-0024 Test case repetition(最近採択): Swift Testing は、不安定な失敗(flaky failure)を追うために、テストを指定回数、あるいは特定の失敗・成功条件に達するまで繰り返せます。現状では、いずれか1つのテストケースが条件に該当すると、すでに成功したものも含めてターゲット内の全テストが再実行されてしまいます。本 Proposal は繰り返しをテストケース単位に変更し、
swift testに--maximum-repetitionsと--repeat-untilフラグを追加します。
関連リンク
- 1つ前の号は Blogダイジェスト Swiftの最新情報: 2026年4月号 を参照してください。
- WebAssembly 関連の話題として、Blogダイジェスト Goodnotes を Swift と WebAssembly で Web へ もあわせて参照してください。