この記事の要点
- 「What’s new in Swift」連載の2025年12月号で、オープンソースプロジェクトとしてのSwiftの10年を振り返るゲスト寄稿(Tim Sneath 氏)から始まり、FOSDEM 2026 の予告、注目の講演・インタビュー、最近のBlog記事、各プラットフォームへの広がり、そして Swift Evolution の動きを取り上げています。
- ゲスト寄稿では、Swift 6.2 による progressive disclosure に沿った approachable concurrency、WebAssembly 対応、C++ 相互運用、メモリ安全性の強化に加え、Embedded・Android・Windows・BSD(FreeBSD プレビュー)・AI・サーバーといった領域でSwiftが「あらゆる場所で動く」状況になってきたことが強調されています。
- 言語面では、レビュー中の SwiftPM の HTML カバレッジレポート(SE-0501)と、最近採択された関数定義の可視性制御(SE-0497)・
defer内でのasync呼び出し(SE-0493)が紹介されています。いずれも Swift Digest にダイジェストがあります。
この号は公式の定期ダイジェストなので、ここでは Swift 利用者が押さえておくとよい注目トピックを選んで整理し、Swift Digest 内外の関連リンクを示します。網羅的な一覧は元記事を参照してください。
注目トピック
FOSDEM 2026 と注目の講演
2026年1月末から2月初頭にかけてブリュッセルで開催される、世界最大級の独立系オープンソースカンファレンス FOSDEM に、今年も Swift コミュニティが参加します。前夜祭として Pre-FOSDEM Community Event が開かれ、本編でも Containers・BSD・LLVM・SBOMs といった DevRoom でSwift関連の講演が予定されています。
最近公開された講演・インタビューからは、次のようなサーバーサイド・インフラ寄りの内容が紹介されています。
- Beyond Web Services: Swift for Low-Level Container infrastructure — Apple の Containerization / Container プロジェクト(いずれも Swift 製)の紹介。
- Separate code from configuration with Swift Configuration — 設定の扱いを統一する Swift Configuration の解説。先日 1.0 がリリースされており、Blogダイジェスト Swift Configuration 1.0 リリース もあわせて参照してください。
- Getting started with gRPC Swift — 高性能なクラウドサービスの基盤となる gRPC の Swift パッケージの掘り下げ。
最近のBlog記事と Swift everywhere
「In case you missed it」として、最近のSwift.org Blog記事が紹介されています。Swift Digest にダイジェストがあるものは以下のとおりです。
- Swift SDK for Android: Android Workgroup がよくある質問に答え、Swift 6.3 向け SDK の nightly プレビューを案内しています(Swift SDK for Android を探る、Swift SDK for Android の発表)。
- Temporal Swift SDK: 永続的で信頼性の高いワークフローを構築するための SDK(Temporal Swift SDK の登場)。
- 2025 Google Summer of Code のショーケース: VS Code での Swiftly サポート、Swift/Java 相互運用の拡張、Swift のコード補完の改善、Swift Testing のコンソール出力の改善。
プラットフォームの広がりとしては、Raspberry Pi 上でのSwift、Swift for Wasm の12月の進捗、Swift AWS Lambda Runtime の公式 AWS Labs への移管、10年前の Pebble Time Round 上で動かす Embedded Swift の例などが紹介されています。Embedded Swift については、Blogダイジェスト Swift 6.3 でやってくる Embedded Swift の改善 もあわせて参照してください。
Swift Evolution の動き
C 相互運用やテスト・並行処理まわりの Proposal が動いています。いずれも Swift Digest にダイジェストがあります。
- SE-0501 HTML Coverage Report(レビュー中): SwiftPM の
swift testにHTML形式のカバレッジレポート生成を追加します。現在はJSONレポートのみで、自動化ツール向けには有用でも人が直接読むには不向きでした。新しい--coverage-formatオプションにより、CI 上での視覚的な確認や開発中の素早いフィードバックが可能になります。 - SE-0497 Controlling function definition visibility in clients(採択済み):
@inlinableは関数定義を呼び出し側へ公開して特殊化やインライン化といった最適化を可能にしますが、本 Proposal は、関数が呼び出し可能なシンボルを生成するか、また最適化のために定義を利用側へ公開するかを明示的に制御できるようにします。 - SE-0493 Support
asynccalls indeferbodies(採択済み):defer文はスコープ単位のクリーンアップを提供しますが、これまで非同期処理を行えませんでした。本 Proposal により、囲んでいるコンテキストがasyncな場合にdefer本体でawaitを使えるようになり、スコープ終了時に暗黙的にawaitされてクリーンアップの完了が保証されます。
なお元記事末の編集後記によれば、Swift.org Blog は年末年始に数週間お休みとのことです。
関連リンク
- ゲスト寄稿で触れられている Swift 6.2 の全体像は、Blogダイジェスト Swift 6.2 リリース にまとめています。
- 1つ前の号は Blogダイジェスト Swiftの最新情報: 2025年10月号 を参照してください。