この記事の要点
- 2022 年 3 月 15 日、これまで Swift コンパイラやライブラリ、ツールの開発拠点となってきた Swift.org の Web サイト自体がオープンソースプロジェクトとなり、コミュニティからの貢献を受け付けるようになったことが発表されました。
- サイトの運営方針も、貢献者だけでなく Swift を使うすべての人を支えるものへと広げられ、サイトの進化を担う Swift Website Workgroup(SWWG) が新設されました。
- 誰でも GitHub 上のリポジトリへ pull request を送ってサイトを改善でき、SWWG のメンバー募集も同時に開始されました。
何が変わるのか
Swift.org の Web サイトは、ナイトリービルドのダウンロード、コミュニティフォーラム、ドキュメント、Swift Evolution の Proposal など、さまざまなコンテンツを集約した場です。今回、このサイト自体が GitHub 上で公開され、誰でも修正や改善の pull request を送れるようになりました。issue の管理にも GitHub Issues が使われます。
サイトの運営とコミュニティからの pull request の承認は、新設された SWWG が担当します。SWWG は、メインの Web サイトに加えてフォーラムやドキュメントも含め、Swift を使う人にとってより良い Web 体験を作ることを目的とします。掲げられたゴールには次のようなものがあります。
- Swift についての親しみやすい情報で新規参入者を歓迎する
- あらゆるスキルレベルの訪問者が Swift で開発を始められるよう支援する
- 言語・ライブラリ・ベストプラクティスを文書化する
- 新機能・API・ツールの改善を告知する
- Swift 開発者同士が安心して交流できる場を提供する
なお、サイト上のすべてのコンテンツが同じプロセスで貢献できるわけではありません。たとえば The Swift Programming Language(TSPL)の本文は Creative Commons ライセンスで提供されているものの、プロジェクト自体はまだオープンソース化されておらず、独自の公開手順を取っています(将来的に Swift-DocC へ移行し、オープンソース化することが意図されていました)。Blog についても、公開前に共有できない発表内容を扱うことがあるため、掲載したい記事の草稿はフォーラム経由で SWWG にメールで送る形が案内されています。Blog 記事は公開時点の情報であり時間とともに古くなる性質があるため、誤字修正などの小さな pull request は歓迎される一方、公開後の大幅な改訂は基本的に行わない方針です。
背景
Swift.org は長らく、オープンソースの Swift コンパイラ・ライブラリ・ツールに取り組む開発者が集まるハブとして機能してきました。一方で、サイト自体はコミュニティが直接手を入れられるものではありませんでした。サイトをオープンソース化することで、ドキュメントや「Getting Started」のような入門コンテンツの改善をコミュニティ全体で進められるようになり、サイトの役割を「貢献者向け」から「Swift を使うすべての人向け」へ広げる狙いがあります。
運営をコミュニティ主導で進めるために、他のワークグループと同様の公開されたガバナンスプロセスを持つ SWWG が設けられました。Diversity in Swift チームも SWWG と連携し、コミュニティ全体の原則と関心が常に考慮されるようにすることとされています。
参加・利用者への影響
この記事は、Swift.org のドキュメントやサイトの改善に貢献したい人、そして Swift を使うすべての利用者に向けたものです。タイプミスの修正のような小さな改善でも、リポジトリへ pull request を送るだけで貢献できます。サイトの進化について議論する フォーラム も用意されています。
発表と同時に、SWWG のメンバー募集も開始されました。コミュニティからの pull request の日々のレビューやサイト戦略の方向づけを担う 5〜10 名程度のボランティアを集めることが目標とされ、フォーラム経由で @swift-website-workgroup に応募する形が案内されました。最初のメンバーは 2022 年 4 月末までに確定することが目指されました。
ワークグループの最初の仕事の一つは、サイトを構築する今後の技術スタックを決めることとされ、ドキュメント系ページの Swift-DocC への移行や、Jekyll に代わる Swift 製ツールの採用といった構想も挙げられていました。